詳細資料_県民ボランタリー活動実態調査

詳細資料_県民ボランタリー活動実態調査

第9回県民ボランタリー活動実態調査(令和元年度)

内容

1 調査趣旨

県民ボランタリー活動を行っている団体・グループの実態や課題、ニーズ等を把握するとともに、兵庫のボランタリー活動等の取組を評価し、今後の支援方策を検討するための基礎資料とすることにより、県民ボランタリー活動を推進する。

2 調査方法

県内NPO法人及び市区町社会福祉協議会への登録団体から無作為抽出した5,000団体に調査票を郵送し、調査(令和元年8月調査)。

3 有効回答 2,584団体(有効回答率:51.7%)

任意団体:2,177団体、NPO:362団体、一般社団法人等:45団体

4 調査委員会の設置

調査内容の検討や結果の分析を行うため、NPO関係者、学識経験者等で構成する調査委員会を設置した。

委員長:宮垣 元   慶應義塾大学総合政策学部 教授
委 員:中山 光子  (認定)宝塚NPOセンター 理事長
委 員:大橋 恭子  生活協同組合コープこうべ 地域活動推進部 統括部長
委 員:唐津 史朗  (福)神戸市社会福祉協議会 地域支援部 広報交流課長

5 調査結果の概要

(1) 今回の調査結果

① 兵庫県内におけるボランタリー活動の全体像
ア 活動分野の多様化の傾向がみられる。
活動分野で最も多いのが「福祉の増進」であるが、前回よりも割合が減っている(前回70.0%→今回63.9%)一方で、「まちづくりの推進」や「社会教育の増進」、「ボランティア・NPOへの支援」など他の分野の割合が微増している。
また、こうした傾向は新しい団体に特にみられ、その中でも「まちづくり」や「文化・スポーツ」などではその割合が高くなっており、活動分野の多様化の傾向がみられる。

イ 活動方法の質的な変化がみられる。
活動方法については、「親睦・交流などの場を提供する」(52.5%)がもっとも多く、次いで「サービスを提供したり、人材を派遣する」(31.0%)、「イベントやシンポジウム等を企画・開催する」(26.3%)、「情報や相談・アドバイスに応じる」(25.5%)となっている。
前回調査で最も多かった「サービスを提供したり、人材を派遣する」が約17ポイント減少しており、活動方法の質的な変化がみられる。

ウ 担い手は女性と高齢者層が多くを占めている。
活動の中心になっているのは、これまでの傾向と変わらず、「ほどんどが女性」とする団体が約6割(58.9%)、「65歳以上」とする団体が7割近く(66.6%)となっている。特に、前回調査と比較して、64歳以下が減少する一方で、65歳以上の割合が高くなっており、県内でボランタリー活動を行う人の高齢化が進んでいることがわかる。

エ ニーズが増え社会的役割が高まっているが、活動を支える部分が弱まっている。
【5年前と比べた変化】
・活動の種類  「増加」:28.7% > 「減少」:9.8%
・総支出金額  「増加」:24.8% > 「減少」:19.0%
・活動者数   「増加」:21.8% < 「減少」:40.2%
・寄付金    「増加」:19.8% < 「減少」:29.8%
社会的役割の高まりを背景に、活動の種類や量(総支出金額)は拡大傾向にあるものの、活動者数や寄付金は減少傾向にあり、活動を支える部分が弱まっている現状が浮き彫りとなっている。

② ボランタリー活動における連携・協働の構造
ア 法人格別で連携や協働の構造が大きく異なる。
連携の相手先としては、「地域を基盤とする団体(特に自治体、まちづくり協議会)」が最も多い。ただし、法人格別にみると、任意団体は次いで「老人会」や「民生委員」との協働が相対的に多く、NPO法人は「NPO法人」との協働が半数以上となっており、法人格別で構造が異なる。
その他の非営利法人(一般法人、公益法人)、病院や教育機関、企業や商店との協働が多いのもNPO法人の特徴である。

イ 連携・協働を拡大している団体とそうでない団体の二極化の傾向がある。
5割以上の団体が他団体との連携・協働を行っているが、前回調査の結果と比較すると、減少傾向(前回63.2%→今回55.9%)を示している。
一方、連携・協働先の数は前回調査より全体的に微増しており、協働を拡大している団体とそうでない団体との二極化の傾向がうかがえる。

③ ボランタリー活動における災害救援・復興支援活動の展開
ア 約4分の1の団体が何らかの救援・復興支援活動に取り組んできた。
全体の約4分の1の団体が、災害時に何らかの救援・復興支援活動に取り組んできた。また、活動は行わなかったものの、「今後は何かを行いたい」とした団体も24.5%あり、全体の約半数の団体が災害時への対応可能性を示唆している。

イ 支援活動を行う団体は、人や資金、情報や場所などの資源が不足している。
支援活動の実施・継続にあたっては、「活動スタッフの確保が困難」(41.6%)、「活動費が不十分」(30.0%)、「被災者の具体的ニーズや支援場所等の情報入手が困難」(26.7%)、「どこまで継続的に支援するかの判断が困難」(26.6%)、「現地までの交通手段や宿泊場所の確保が困難」(20.4%)など、支援活動を行う団体の人や資金、情報や場所などの資源の不足が課題となっている。

④ ボランタリー活動における課題と方向性
ア 活動者数の不足、世代交代の遅れなど、「担い手の確保」が大きな課題である。
【前回(平成26年度)調査との比較】
・活動者数が足りない   39.7%(前回) → 45.4%(今回)
・世代交代が遅れている  38.4%(前回) → 42.6%(今回)
活動における問題点、課題としては、「活動者の数が足りない」が45.4%と最も多く、次いで「世代交代が遅れている」が42.6%となっている。

イ 「展開より安定」を志向する傾向がある。
【前回(平成26年度)調査との比較】
・拡大、充実する  37.9%(前回) → 22.2%(今回)
・現状を維持する  56.5%(前回) → 68.0%(今回)
・縮小する      1.6% (前回) →  5.6% (今回)
今後の方向性について、「拡大、充実する」が減る一方で、「現状を維持する」「縮小する」が増加傾向にある。

(2) 「ボランティア元年」からの25年の変化

過去の調査結果との比較から見出すことのできる阪神・淡路大震災からの25年の変容は以下のとおり。

① 活動は広がっているが新しい担い手の確保が大きな課題である。
活動が多様化し、活動の範囲が地理的に広がってきているが、活動者数の規模が必ずしも拡大しておらず、担い手は高齢化している。また、参加の経路は口コミに頼る一方、行政や社協、他団体からの紹介が減っており、担い手の確保が困難になっている。

② 社会的ニーズに対応した事業組織化の進展がみられる。
一年間の活動回数は、必ずしも一貫した傾向とはいえないものの、「11回以下」が減少する一方で、「12回以上」は増加傾向となっており、活動が活発になっている。また、収入の内訳では、調査を始めた平成21年から「事業収入」が一貫して増加しており、「明文化された規約・会則」の整備状況も一貫して増加傾向にあることなどから、社会のニーズに対して活動を行い、全体としては事業組織化が進行していると考えられる。

③ ボランタリー活動実施団体から見たこの25年
ア 社会的認知や役割が高まってきたことを実感している。
「ボランタリー活動に対する一般的な認知、理解は高まった」、「ボランタリー活動が、社会の中で一定の役割を果たすようになった」については、全体の4分の3以上が「思う」としている。

イ 参加のための土壌について一定の評価をしている。
「ボランタリー活動に参加する人の層が広がり、多様性が高まった」、「ボランタリー活動が身近となり、気軽に参加できるようになった」については、それぞれ7割弱程度が「思う」としており、参加のための土壌についても、総じて一定の評価がされている。

ウ 支援の取組は進みつつあるものの途上段階にある。
「ボランタリー活動に対する社会制度や支援制度が充実した」、「ボランタリー活動に対する学校教育での取組が活発になった」、「ボランタリー活動に対する企業の社会貢献活動が活発になった」については、肯定的な評価が増加傾向を示しているものの半数程度となっており、支援の取組は途上にあるといえる。

関連資料


以下のファイルは、報告書全編を分けたものです。



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